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anyone's daughter
バンド名は英語というだけあって、英語曲もかなり多いエニワンズドーター(1stと2ndはすべて英語詩)。シンフォニック・ロックに分類されるバンドの紹介です。プログレ系でドイツのバンドがドイツ語で歌うケースは少ないので、結構貴重かも。プログレ界では非常に有名なバンドですが、ドイツ国内ではどんな感じだったのだろう。音楽性はよくCamelとかとよく比較されたりしますが、もっと地味なかんじです。でもドイツのシンフォニック・ロック・バンドにしては意外と垢抜けた感じがする。そんなにテクニックをひけらかすタイプでないし、ずばぬけてすごいというわけではないけど、「なんとなくいい」という感じの愛すべきバンドだと思う。70年代末期から80年代半ばまで活動し、7枚のアルバムを出しました。ドイツのシンフォ・ロックを聴こうとするなら、NovalisやEdenと同様に、避けては通れないバンドでしょう。既に解散したバンドです(と思ってたら再結成!2001年には新アルバムが発売、でも英語詩です)。
■アルバム
Pictors Verwandlungen (1981)
通算3枚目のアルバム。プログレ者は彼らの最高傑作としてあげることの多いアルバムだ。叙情派プログレの傑作。タイトルは「ピクトルの変身」。ヘルマン・ヘッセの同名小説にインスパイアされたアルバム、というよりもほとんど朗読アルバムともいえる(一部略あり)。控えめの演奏をバックにした朗読と、朗読なしのアグレッシブな演奏が交互に行なわれるという構成。小説の朗読が終わると、ラストの盛り上がりとともに、「さて、次は君の番だ・・・」って感じのオリジナルの歌詞を高らかに数十秒のあいだ歌い上げ、30分以上続いた演奏は感動的に幕を閉じる。一応上記のようにトラックは13に分かれているのだけど、全部一続きの流れのなかにある。いちおうライブ・アルバムだが、演奏中は拍手、歓声は皆無。ヘッセの小説の方は新潮文庫から出ている『メルヒェン』に収録。これも必読だ。
In Blau (1982)
4枚目。個人的には一番好きなアルバムだ。前作のような全体を覆い尽くす堅牢なコンセプトに縛られるのではなく、いい具合に肩の力が抜けつつ、幻想的かつさわやかで落ち着いた感じのする良いアルバムだと思う。小曲を中心としたアルバムだが、ラストの1曲は組曲。青色に包まれたジャケットと奏でられる音がぴったりマッチしていると思う。キーボードが音像の中心となるが、要所要所をアコースティック・ギターがしめて、心地よく感じられた。しいて言うならば、ガブリエル時代のジェネシスの小曲が集められたといった雰囲気のアルバム。最後を飾る組曲Tanz und Todは名曲だと思う。
Neue Sterne(1983)
5枚目です。聴いてすぐ分かるように、前作に満ち満ちていた蔭りが落ちて、何か明るくすっきりとしたポップになった(アメリカン・シンフォほどじゃないけれど)。リズムが強調されているのと、キーボードの音色が明るいからだろうか。とりあえず明るい。旋律も明るいものが多い。光を感じる。前半が歌物、後半はインストゥルメンタルに分かれている。「Neue Sterne」や「Viel zuviel」などのメロディは実にキャッチーだ。思わずサビの部分を一緒に歌いたくなるほど。実に「ロック」っぽいアルバムだ。これはこれで悪くないと思う。実質上エニワンズドーター最後のスタジオアルバムです。
■英語歌詞のアルバム
Adonis (1979)
1stアルバムです。これ聴くと、エニワンズドーターはGENESISフォロワーなのかもしれないなあと気づきました。他のアルバム聴いててもそんな感じなかったのだけれど。ガブリエルをもっと優しくおだやかにしたような歌声で、しかも英語歌詞だと、なるほど、よく分かりました。特に20分を超える組曲である1曲目なんかそれっぽいです。ドイツシンフォって野暮ったさが売りみたいなところがあったりするのですが、アクがなく、すっきりした感じが耳になじみます。コーラスなんかもさらっとしてて。2曲目はインスト曲。ラスト曲はバンドのテーマ曲なのでしょうか、そのままバンド名がタイトルになってます。
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