book

ドイツ語ロック関連書籍

■和書
image 野村修『ビーアマンは歌う』(晶文社セレクション)1986
東ドイツの詩人であり、Liedermacher(シンガーソングライター)である、歌う詩人ヴォルフ・ビーアマン。ギターを弾きながら、がなりたてるように歌います。その詩はおしなべて体制批判的。1965年以降文学活動は禁止されます。だから歌うのです。1976年に西ドイツへの演奏旅行中、公民権を剥奪されてしまい(というより、西ドイツへの出国許可自体が、故郷追放の罠であった)、東へ帰ることができなくなりました。この本では、彼の友人でもある著者が、生い立ち、作品、活動等について語ってくれます。こういう本が日本語で、しかも日本人によって書かれるということはとてもすばらしいことだと思います。ちなみにビーアマンはニナ・ハーゲンの養父でもあります。おなじ著者による『ヴォルフ・ビーアマン詩 集』(晶文社、1971)がでてますが、現在は入手不可能。私も持ってません。ビーアマンの歌詞に関心のある方はBiermann, Wolf, All Lieder, Kiepenheuer & Witsch, Koeln, 1991 があります。文庫本程度の大きさですが、460頁を超える分量があります。
image 『ジャーマン・ロック集成』(マーキームーン社)1994
アルバムガイドの定番です。ぜひ買いましょう。私の持ってるのは初版ですが、現在は最新の情報を追加した改訂版が出てます。手元にあるとなにかと非常に重宝します。Amon Duul、Can、Faust、Tangerin Dream、Guru Guru、Ash Raなどといった日本でもよく知られたアーティストを中心としつつ、幅広くアーティスト、アルバムを紹介しています。主要アーティストを詳細に紹介し、それ以外のアーティストはそれぞれアルバム一枚づつ紹介するという構成をとってます
image 『ジャーマン・エレクトロ・リミックス』 (発行:マーキー・インコーポレイティド、発売:星雲社) 1997
『ジャーマンロック集成』の姉妹版もしくはリミックスヴァージョンと言ったほうがいいかもしれません。現在のジャーマン・テクノやらジャーマン・トランスやらのムーブメントをおさえつつ、それらの源流としての70年代のドイツロックをたどっていってます。写真、インタビューも豊富です。とても楽しい本です。Neue Deutsche Welleにも触れてます(DAFとかDer Planとか)。
image ティモシー・ライバック『自由・平等・ロック』(晶文社)1993年
基本的にはロシア・東欧のロックについての本です。東ドイツのロックについては少しだけですがページが割かれており、東ドイツのロックについて日本ではほとんど紹介されてこなかったので、この本はなかなか貴重な情報を提供してくれます。ただし、共産主義による弾圧に対してロックがいかに戦ったかということがこの本のテーマであり、そのため、アジテート性の強いロックや、迫害を受けたミュージシャンのみに価値が置かれ、国家的承認を受けた者たちはほとんど評価されないという偏りはあります。訳文は直訳調で読みにくいです。

■洋書
image Asbjornsen, D. E., Cosmic Dream at Play:a guide to German progressive and electronic rock, Borderline Productions, 1996(ISBN:1899855017)
70年代のプログレ系、エレクトロ系のアーティスト辞典であり、アーティストごとに紹介してます。各アーティストへの力の入れ具合はそれぞれ異なってます。『ジャーマンロック集成』ではほとんど無視同然の扱いをされているグループが詳しく紹介されていたりして面白いです(例えばTon Steine ScherbenやIhre Kinderといったポリティカル・ロックなど)。索引もついてとても便利です。イギリスの出版社から出ていて、英語でかかれてます。
image Wilholm, von W., Deutschrock - Lexikon, Lexikon Imprint Verlag, 1999 (ISBN:3896022121)
70年代を中心としたドイツのロックのアーティスト辞典です。ドイツ語で書かれてます。取り扱っているジャンルは幅広く、総合的なドイツロック辞典と言えましょう。ただし現代は多少弱いです。執筆の段階であまりにも膨大な量になりすぎて、かなり削除したみたいです(予定されていた副題はvon Krautrock bis Punkだった)。残念です。でも、その部分については、Lexikon der Neue Deutsche Welle やら DDR-Rock-Lexikon (出版済)やらの出版が予定されているそうです。
image Das Lexikon des deutschen Schlagers, Piper/Schott, 1993 (ISBN:3795782082)
これはドイツの歌謡曲人名辞典。1000人以上紹介されてます。でも、ポップな歌ものの歌手やグループを除いて、ロック系のアーティストはほとんど出ていません(あ、でも Udo Lindenbergは載っていた)。とはいえドイツのポピュラー音楽界の中心部を垣間見ることができます。30頁以上にわたって書かれた1918年以降1990年代に至るまでのドイツ大衆音楽の歴史は、とても勉強になります。ドイツ語です。
image Hintze, Goetz, Rocklexikon der DDR, Schwarzkopf & Schwarzkopf Verlag, 1999 (ISBN:3896023039)
東ドイツロック人名辞典。500以上のミュージシャンやバンドをアルファベット順に収録し、巻頭には東ドイツロック小史、巻末には1975年から1990年度までの「DDRヒットパレード」ベスト50の曲目を収録しています。断片的情報に頼るしかなかった東ドイツロックの情報がこの本によって一望できるようになりました。Deutschrock-Lexikonとともに必携の本と言えましょう(なおDeutschrock-Lexikonの序で出版予定されていたDDR-Rock-Lexikon は本書のことです)。総350頁で、ドイツ語です。
image Wilfer, Charly, Das Lexikon der deutschen Live-Szene, Lexikon Imprint Verlag, 2000 (ISBN:3896022660)
ドイツのライブシーン、クラブシーンの辞典で、現在活動中のアーチストを紹介。ロック&ポップを中心に、ハードロック、メタル、パンク、オルタナ、ヒップホップ、スカ、レゲエ等で活躍するドイツのバンド、アーティストを、470ページ以上に渡って、500組以上も記載。写真も多数収録。各音楽家の項目には関連するサイトのアドレスが記載され、至れり尽くせ り。まさしく、今のドイツの生きのいいユーゲント音楽がここに収められている。なお、基本コンセプトはライブに出向く人のためのガイドブックといういうことのため、既に解散、活動停止しているバンド・音楽家は外されているようだ。この手の辞典はすぐに古くなってしまうのが難点だが、今後のアップデートも予定されているようで、まさに現在のドイツ・ロックを 概観するためには、必須の本といえよう。ちなみに、このHPで紹介している音楽家では、Toten Hosen、Rammsteinは当然のこと、Haggard、Goethes Erben、In Extremo等も紹介されている。もちろんドイツ語。
image Balladen, Blues & Rock-Legenden: Best of Collection - Rock und Song-Poesie Ost, Verlag Buhmann & Haeseler, 1999 (ISBN: 3927638048)
60年代から90年代に至る東ドイツロックの歌詞と楽譜コレクションです。取り上げられている曲は100曲以上。City、Pankow、Renft、Puhdys、Veronika Fischer、Wolf Biermann、Karat、Feeling B、Sandow等々、40人(組)以上のミュージシャンの代表曲を掲載。しかも全部楽譜付き。コードもついてるし、曲によってはピアノ譜もついてます。バンドでカバーするもよし、ピアノで弾き語りするもよし。掲載されたバンド・ミュージシャンの略歴、ディスコグラフィーはもちろん、1952-1990のドイツ内外の詳細なロック関連年譜や、東ドイツの著名なポピュラー音楽研究家Peter Wickeによるエッセイ等もついてるし、さらには写真もちりばめられて、東ドイツポピュラー音楽シーンを十二分に回顧できる重宝な本です。A4ハードカバー350頁以上(9割以上が歌詞と楽譜の頁)。気になるお値段は48DMくらい。ドイツ語です。

▲top page