lokomotive kreuzberg


1972年ベルリンでに結成、1978年に解散したポリット・ロック・バンド(Polit Rock: 政治的ロック)。Floh de CologneやTon Steine Scherbenといった主要バンドと並んで人気があったようだ。それにしても、「70年代ドイツのロック」と言えば日本ではサイケ、アシッド、プログレってなイメージだが、当時のドイツでは日本で考えられている以上に、政治的な主張を行なうポリット・ロックに人気が集まっていたようだ。ま、文化の筋は一本じゃないのが当然だと思うが。結成当時のメンバーはAndreas Bauer(Key、Violin)、Volker Hiemann(G)、Uwe Holz(D)、Franz Powall(B)。その後ギターとベースがそれぞれ、Uwe Muellrich、Manfred Praekerに変わる。ヴォーカルは全員が交代でとっている。そして政治的な歌詞はKarl Heinz Scherflingによるもの(あと語りも)。現在入手できるCDはベスト盤のみであり、左翼系アーティストのアルバムをよく出しているPlaene Recordから出ている(Floh de Cologneのいくつかのアルバムもここから出ている)。ベスト盤しか聴いたことがないので断言はできないが、かなり多彩な音楽性を持っていたようだ。おそらく演劇的なライブを行なっていたであろうことは予想できるが(各種資料にもそう書いてある)、Floh de Cologneとはかなり肌触りの違った硬質な感じの音を出している。またAndi Bauerのバイオリンもバンドのカラーをかなりの部分担っているようだ。

■アルバム
image Gesammelte Werke(1972-1978) (1994: Praene88765)
現在入手できる唯一のCD。ただし名の通りベスト盤だ。彼らの活躍していた7年間に発表されたアルバムから代表曲が万遍なく収録されている(8曲めはシングルから)。そのためアルバムとしての統一性には欠けるが、彼らの音楽性の幅広さを窺い知ることができよう。9曲めにはフリージャズ系のミュージシャンWolfgang Daunerがピアノで参加しているが、特に意外というわけではなく、曲によってはジャズロック風味も兼ね備えていて、政治的アジテーションがメインにくるポリット・ロックのなかでも、このバンドはテクニカルな面でも楽しめる。メインは20分にも及ぶコテコテにシアトリカルな9曲めだが(Daunerのピアノがかっこいい)、ロックンロールの4曲め、3本のアコースティックギターに力強いヴォーカルの5曲め、バイオリンとエレキギターのからみがかっこいい8曲めなど、多彩な楽しみができるアルバムだ。

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